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テレビドラマで斬るプロジェクトマネジメント 第39回

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  • 公開日:2009/03/06
  • 更新日:2009/03/18

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「銭ゲバ」なプロジェクト管理を再考するimg36  

■ IT 業界の「銭ゲバ」

土曜日の夜、非常にショッキングなドラマが放送されている。「銭ゲバ」である。「金のためならなんでもするズラ」。その考えをベースにどんなことでも行い、派遣社員から大会社の社長に上り詰めた蒲郡風太郎(松山ケンイチ)。初めて人を殺したのは少年時代、新聞配達で世話になった年上の友人だった。

その後も、大会社の令嬢(ミムラ)に近づくために、令嬢が乗っている車にわざと当たったり、信頼を勝ち取るために、ナイフで自分を刺させたり。様々な策略を駆使して、令嬢の父である大会社の社長(山本圭)の信頼を得て、とうとう会社の社長にまで上り詰める。
「金のためなら、何でもするズラ」
と語り、有言実行、本当に金のために何でも行なう。

プロジェクト管理を行なう上でも、銭-コスト-が重要なファクターである。また、「売上げ、売上げ」を口にする営業は、開発担当者にとっては「銭ゲバ」に見えることも多い。しかし、営業だけでなく、開発-プロジェクト管理-の中にも、しっかり銭のことを考えなくてはいけないプロセスがある。

■ プロジェクト管理における QCD の C

日経コンピュータ誌によるプロジェクト実態調査でも、成功と失敗の観点のなかに QCD を含んでいる。このように C(コスト)は、プロジェクトの成功・失敗を図るうえで重要なファクターとなっている。たまに、「利益は出せなかったが、売上げには貢献した」とか「顧客満足は達成した」などと宣言し、コスト超過をうやむやにする輩がいるが、それは間違いである。

プロジェクトの目標として、コスト度外視と設定されていたとしても、プロジェクト全体のコストを見積り、その計画内にコストを着地させるのが、プロマネの仕事である。もし、コスト管理をしていないプロマネがいたとしたら、そのプロマネはプロマネとしての職務を放棄している。

■ PMBOK におけるコスト管理

コスト管理は PMBOK においては「承認済みの予算内で完了するために必要なプロセス」とされている。決して、黒字を出すためのプロセスではない。あくまでも、承認された予算内で完了させるためのものである。しかし、承認された予算内で完了することができず、予算を超過しそうな場合はどうすればいいのだろうか?答えは簡単である。承認された予算を変更させればよい。予算を変更させるプロセスに則り、再度作業を見積もって、予算を変更するのである。

ちなみに、この予算を変更するプロセスは、2009 年 4 月から「工事進行基準」に対応する上で、非常に大事なプロセスとなる。もし、このプロセスがない場合、プロジェクト途中の決算期に総費用の見込みが当初総見積りを超えそうな場合に、対応できなくなる。

<PMBOK ガイド第 4 版におけるコストマネジメントのプロセス>

コスト見積り(Estimate Costs) 計画プロセス群
予算設定(Determine Budget) 計画プロセス群
コスト・コントロール(Control Costs) 監視・コントロールプロセス群


■ コスト管理の重要性

この「テレビドラマで斬るプロジェクトマネジント」の連載の最後に、ある意味プロジェクト管理で最も大事なコスト管理について、「銭ゲバ」を題材に説明を試みた。顧客満足度重視、納期重視、品質重視などと様々な目標があるが、ビジネス的にはやはりコスト重視、予算内での完了は必須の目標といえる。SE やエンジニアはコストと聞くと、「自分とは関係ない」「金を考えるのはかっこ悪い」という感覚を持っていることが多いが、「予算内にコストを収める」のもプロジェクトの目標の 1 つである。しっかりと現実を向き合い、プロジェクトを成功に導きたい。 

■ 最後の挨拶

PMINFO に 2004 年に「司馬紅太郎と PMP 十三楽坊のプロマネ・コラム」、その後、2007 年から「テレビドラマで斬るプロジェクトマネジメント」を連載させていただきました。プロジェクトマネジメントというものは、プロマネや一握りの識者のものではなく、非常に簡単なものであり、開発の現場や日常にも適用でき、様々な局面において役に立つものであることは確かです。しかし、研修やセミナーでは、分厚いテキストを基に、小難しい顔をした年配の人が、やたらめったら難しいことを説明しています。そして、その時点でプロジェクトマネジメント拒否症が発症するひとも多数います。

PMP 試験の参考書を手にとって、「こんなたくさんのことを覚えなくてはいけないなんて」と思った方、セミナーで偉いひとの講演を聴いて「プロジェクトマネジメントは高度なものだ」と思っている方、そのような方々の誤解を解き、プロジェクトマネジメントの入門・お遊びとして、この連載を開始しました。仕事や勉強に合間に、楽しく読めた、と感じていただければ幸いです。 

「銭ゲバ」
2009 年 01 月 17 日~ 03 月 14 日、日本テレビ系列で放送。主演:松山ケンイチ。ミムラ、宮川大輔、椎名桔平らが出演。原作は「週刊少年サンデー」に連載されていたジョージ秋山の「銭ゲバ」。連載されていた時期は 1970 年~ 1971 年であるが、作中の表現が過激なため有害図書扱いされたこともある。

ドラマの内容は、貧乏な幼少期を送った蒲郡風太郎(がまごおり ふうたろう)の半生を描いたものだが、平均 1 話につき 1 人の死者を出す過激な内容、主人公の「世の中、銭ズラ。金のためにはなんでもするズラ」という偏った考えのためか、スポンサーがつかず、第 3 話(2009 年 1 月 31 日)からコカ・コーラの 1 社提供となっている。

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テレビドラマで斬るプロジェクトマネジメント 第39回
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プロフィール

司馬 紅太郎, PMP

文系大学卒業後、IT業界に飛び込む。様々なプロジェクトでシステム開発を経験後、今は、大手SIerでPM業務を行っている。PMPであり、ITコーディネータ。著作に、『拝見!プロジェクトマネージャの仕事場-ITプロジェクトの成否の鍵を握る人々-』(技術評論社:共著)『空想プロジェクトマネジメント読本』(技術評論社:監修)など多数。『PMP試験実戦問題』(オーム社:共著)はカブトムシ本と呼ばれ、廃版した後もオークションで売れ続けた隠れたベストセラーである。2009年1月に、最新刊『ニッポンエンジニア転職図鑑』(幻冬舎)を刊行。
E-Mail:shiba-kou@mbj.nifty.com


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