
■ 南の最果て島での駐在さんの赴任日記
白瀬遼(坂口憲二)が赴任した那瑠美島(なるみじま)は沖縄の離島である。石垣島からさらに高速船で 1 時間。そこに那瑠美島(なるみじま)が存在する。そこには、医者はいないし、警察もない。最初「駐在さんよりも、医者をくれ!」と島民に言われる始末。しかし、持ち前の明るさと熱意で、島の生活にだんだん溶け込んでいく。
この白瀬巡査部長は毎晩日誌を書く。たぶん業務報告の日誌だと思われるが、そこには毎回同じ言葉が書かれていく。「本日も晴れ。異常なし」。ドラマのタイトルと同じである。しかし、この島では犯罪とはよべないが、様々な事件が起こっている。窃盗もどき(第 4 話)が発生したこともある。それでも、日誌には「本日も晴れ。異常なし」としか書かれない。
これは、報告書としては非常にまずい見本といえる。事件が起きても「異常なし」。毎日、毎日、異常なし。こんな報告書があるだろうか?
■ プロジェクトにおける報告書
プロジェクトでも様々な報告書類が作成される。プロジェクトの立ち上げ時には、プロジェクトの分析報告、ステークホルダーの分析報告など。プロジェクトの実行中には、状況報告、進捗報告など。プロジェクトが完了した後にはプロジェクト完了報告書。これらの報告書類のなかで、最も目にして、作成することも多いのが進捗報告であろう。
以前は、ドラマ「本日も晴れ。異常なし」のように「今週の進捗はオンスケ。問題なし」というような報告がなされていた時代もあったが、最近では定量的に報告するのがルールである。
<進捗報告における報告事項>
| 報告期間 | 例:X 月 X 日~ X 月 X 日 |
|---|---|
| 全作業量 | 例:プログラム 100 本、試験 200 項目 |
| 報告期間における予定量 | 例:プログラム 10 本、試験 10 実施 |
| 報告期間における実績 | 例:プログラム 7 本、試験 10 実施 |
| 遅れの量 | 例:3Day 遅延、1W 遅延 |
| 遅れの原因 | 例:作業見積りミス、作業者のスキル不足、別作業 |
| 遅れによる影響 | 例:タスク XX の着手が 3Day 遅延、残業 |
| 遅れのリカバリ策 | 例:担当者の時間外作業により今週中にリカバリ 要員追加により今週中にリカバリ 1W 遅延のまま、スケジュールを見直し |
作業の予実、そして遅れに関する量・原因・対策。これらを進捗報告に記載するのがベターであるが、最低でも作業の予実は記載しないと進捗報告とはいえない。もし、本当に「オンスケ。異常なし」の場合には「予定 XX に対して、実績 XX である。計画通り。リスクも問題も特になし」というような報告になる。
■ 数値化できない作業の報告
進捗の報告をする上で迷うのは、プログラムや試験などのように定量的に管理できるものはよいが、そうでない作業をどのように報告するか、である。「オレの仕事は数じゃねぇ、質なんだよ」という反論も聞こえそうだ。
しかし、そのような作業も定量的に報告することは可能である。定量的に量れないもの-作業-は、その作業を WBS(Work Breakdown Structure)に分割し、その WBS の総数と完了した WBS の数で進捗を測定することが可能である。極論を言うと、一番細分化した末端の WBS の単位を 1Day にすれば、その日の WBS が完了しない場合には 1Day の遅れ、と明確に作業の遅れを定量的に把握することができる。
しかし WBS に分割する上で注意しなくてはいけないことがある。それは、管理できる単位/管理する単位に分割する、ということである。
もし 1 週間に 1 回進捗を確認するのであれば、WBS 1 つ 1 つを 1 週間の作業に分割すると楽である。「その WBS が完了したか、否か」で進捗を判断できるからである。それを、1 ヶ月の WBS で管理した場合、4 回の進捗報告を経ねば WBS が完了せず、4 週間後にいきなり「全く進捗が進んでいなかった」という事態になりかねない。
■ 「本日も晴れ。異常なし」を反面教師に
「本日も晴れ。異常なし」は、のどかな南の離島の駐在さんの日記である。そこで起こる事件は、日誌には書かれず、ただ「本日も晴れ。異常なし」と記されるのみ。
しかし、プロジェクトに置き換えると、その報告は何の意味もなさない。徹底的に定量的に!そして予定と実績の差を明らかに!これがプロジェクトにおける進捗報告の原則であり、曖昧な表現は、プロジェクト管理をゆるがせるもとになるのである。
| 「本日も晴れ。異常なし~南の島 駐在所物語~」 2009 年 01 月 18 日~、TBS 系列で放送。 主演:坂口憲二。松下奈緒、夏未エレナ、前田美波里らが出演。警視庁新宿署の刑事だった白瀬(坂口)が志願して沖縄の離島、那瑠美島の駐在所の赴任し、赴任先の島民たちとのふれあいを描くドラマ。ほとんどの撮影を沖縄ロケで行なっており、画面に映される青い空・海、そして壮大な自然は見るものの心を洗わせる。 |
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司馬 紅太郎, PMP



