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テレビドラマで斬るプロジェクトマネジメント 第37回

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  • 公開日:2009/02/18
  • 更新日:2009/03/04

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 ドラマ「キイナ~不可能犯罪捜査官~」は、最新の科学で明らかになった不思議現象や、世界で実際に起きた不可思議な出来事をベースにした難事件に女捜査官キイナが観察眼とひらめきで解明するミステリードラマ。
 さて、プロジェクトの現場でも不可思議な事件が多々起こっているようだ。さっそくキイナ捜査官に謎を解明してもらおう。


IT業界の不可能犯罪を捜査官キイナに聞くimg36  

■ 不可能犯罪捜査官の春瀬キイナ

春瀬キイナ(菅野美穂)は、警視庁捜査一課特別班・通称「ベッパン」に所属する捜査官である。といっても正確は天然、いや不思議ちゃん系。しかし見たものを一瞬で覚える記憶力と天性のひらめきを持ち、警視庁に持ち込まれた異常現象事件を、合理的に解いていく。

ん?これって、なんか同じような傾向のドラマがたくさんあったような気もする。「ガリレオ」(2007 年)、いや女性が主人公というと「トリック」(2000 年、2002 年、2003 年)か。主人公の性格からみると「ケイゾク」(1999 年)。まぁ、全て大ヒットしたドラマなので良しとしておこう。

テレビドラマで斬るプロジェクトマネジント第 8 回」では、「ガリレオ」の湯川准教授に、IT 業界の不思議な現象を斬ってもらったが、今度はキイナ捜査官に、うさんくさい事象を解き明かしてもらおう。

■ プロジェクトの成功率 100% を自称する男

「キイナさん、先日あるセミナーで、自分がプロマネをやったプロジェクトは全て成功している、と宣言しているひとがいました。小さなソフトハウスの社長なんですが、それって本当なんでしょうか?もし本当ならば、ぜひ、当社のプロマネとしてお迎えしたいのですが」

キイナ:「うーん、プロジェクトの成功率が 100%。プロジェクトってよく失敗するという話を聞いているし、2003 年の日経コンピュータ誌のアンケート調査でも、成功率は 26.7% だったみたいだし。うーん。見つけた。このアンケートでは、品質・コスト・納期の 3 つが達成したものって書いてある。あれ、その 100% 成功のひとって、何が成功したらプロジェクトの成功かって、きちんと定義していたのかしら。あー、もしかして『自分が成功だと思ったら成功だ』とか『納期までに納入すれば成功だ』とか考えているのかも。そこらへんを詳しく調べてみたら」

■ コミュニケーションは完全な職場での出来事

「キイナさん。プロジェクトで最も大事なものはコミュニケーションですよね。うちでは、朝会・夕会を毎日開いて、プロジェクトのメンバーを全員集めてコミュニケーションを図っています。それに、週に 1 回は飲み会を開いて懇親を図っています。これでコミュニケーションマネジメントは完璧でしょう。でもなぜか、プロジェクトの進捗が悪いんです。もっとじっくりコミュニケーションを図らなければいけないんでしょうか?」

キイナ:「うーん、異性とのコミュニケーション運が、今日は最低なキイナです。朝会・夕会って何時から開始されるの?え?8 時から?ゴメンなさい。参加できそうにもないです、低血圧なので。では、さよなら。
あ、あと 1 つ質問いいですか?コミュニケーションっていったいなんでしょう?PMBOK ガイドというものを読んでみると、コミュニケーションマネジメントはプロジェクト情報の適時で適切な生成・収集・配布・保管・検索・最終的な廃棄を確実に行なうことに関するプロセスっていうことらしいです。そうなんだ」

<PMBOK 第 4 版におけるコミュニケーションマネジメントのプロセス> 

ステークホルダー特定
(Identify Stakeholder)

立ち上げプロセス群

コミュニケーション計画
(Plan Communications)

計画プロセス群

情報配布
(Distribute Information)

実行プロセス群

ステークホルダー期待のマネジメント
(Manage Stakeholder Expectations)

実行プロセス群

実績報告
(Report Performance )

監視・コントロールプロセス群


キイナ:「でも最近では、職場での人間関係やコミュニケーションが問題となることが多いみたいですよ。いろいろな調査でも、職場でのセクハラやパワハラがストレッサー、つまりストレス要因になっていることが多いですし。そのストレスがメンバーの作業に影響を与えて、結果的に作業パフォーマンスを悪化させる事例が多いようですよ。それに、みんなで集まる会議ばっかりして、実際の作業はいつやるんですか?もしかして、残業ですか?長時間就業もストレス増加の大きな要因ですよぉ。
うーーん、PMBOK に書いてあるように、適時に、適切に、という感じでコミュニケーションをとったほうがいいんじゃないでしょうか」

<職場におけるストレス要因(ストレッサー)「労働者健康状況調査(2001 年)」から>

1.職場の人間関係

社内におけるイジメ・派閥争い・セクハラ・パワハラなど。

2.仕事の量の問題

1人で多くの仕事を抱える。
長時間労働。

3.仕事の質の問題

仕事が物足りない。
仕事が自分には荷が重すぎる。
裁量が少なく責任過重な状況。


■ バグが 0 件のプログラム

「キイナさん。元請会社のプロマネをやっているんだが、先日外注会社からバグが 0 件だというプログラムを納品されたんだ。そんなことってあるんだろうか? 外注会社の社内で徹底的に試験をしたが、バグが出なかったというんだよ。当然理由を聞いたんだけど、『プログラマが優秀だから』と言い返されたんだ」

キイナ:「うーーーん。そんなことってあるのかな。統計的には一定のバグが出ると書かれているんだけど。うーーーん、もしかしたら、本当に優秀なプログラマ、天才ハッカー、とか。将来、シリコンバレーに行って、億万長者になるかもしれない。えーと、紹介して欲しいかも。
ところで、このプログラムってどんな試験をしたの?もしかしたら同じような試験ばっかししていたのかも。そうすれば結果的に試験範囲が狭くなるから、バグの出る可能性も低くなるわよね。あとは試験項目の数も確認して。最近では、品質の定量分析ということで、規模に対する標準試験密度やバグ摘出数などが統計的に算出されている場合もあるみたい。そういうのも上手く活用して、バグを発見するの」

■ プロジェクトの不可能事象を合理的に管理する

キイナが説明したとおり、IT 業界ではまだまだ不可思議な現象がまかりとおっている。成功率 100%、コミュニケーションが完璧、そしてバグ 0 のプログラム。プロマネとしては、そのような言葉の裏に隠された実態を合理的に解き明かし、プロジェクトを成功に導きたい。
 

「キイナ~不可能犯罪捜査官~」
2009 年 01 月 21 日~、日本テレビ系列で放送。
主演:菅野美穂。平岡祐太、沢村一樹、小池栄子らが出演。移植された心臓の記憶、憑依、死者の蘇りなど不可思議な現象が絡んだ事件を担当する警視庁捜査一課特別班・通称「ベッパン」に所属する春瀬キイナ(菅野)の活躍を描いている。
キャッチコピーは「このドラマは“事実”から生まれた」であり、同局の「特命リサーチ 200X」や「ザ!世界仰天ニュース」をベースにした事実を基にしている。

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INDEX
テレビドラマで斬るプロジェクトマネジメント 第37回
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プロフィール

司馬 紅太郎, PMP

文系大学卒業後、IT業界に飛び込む。様々なプロジェクトでシステム開発を経験後、今は、大手SIerでPM業務を行っている。PMPであり、ITコーディネータ。著作に、『拝見!プロジェクトマネージャの仕事場-ITプロジェクトの成否の鍵を握る人々-』(技術評論社:共著)『空想プロジェクトマネジメント読本』(技術評論社:監修)など多数。『PMP試験実戦問題』(オーム社:共著)はカブトムシ本と呼ばれ、廃版した後もオークションで売れ続けた隠れたベストセラーである。2009年1月に、最新刊『ニッポンエンジニア転職図鑑』(幻冬舎)を刊行。
E-Mail:shiba-kou@mbj.nifty.com


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